「親中派」も必死です

いつも読ませていただいている御家人さんの「日々是チナヲチ。」の記事で、日本の対中ODA(政府開発援助)凍結の話が取り上げられています。

『経済制裁。・上』
=『経済制裁。・下』

さすがにチナヲッチャーの御家人さん、今回の凍結を日本による経済制裁ではないか?と分析されています。
なかなか鋭い分析ですので、皆さんもぜひ読んでみてください。

私自身、記事そのものも大変参考になったのですが、その記事のコメント欄に寄せられたニュース記事の紹介も非情に気になりました。

そのニュースは以下の二つです。

『「靖国」「戦犯」言及避ける 中国主席の日本向け講話草案』(朝日新聞)

中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席が31日、日中友好7団体代表との会談で示す「重要講話」の草案の概要が明らかになった。談話では小泉首相靖国神社参拝やA級戦犯への直接の言及を避け、「中国が歴史問題を重視する理由」を強調する方針だ。中国側は首相の靖国参拝を厳しく批判してきたが、結果的に日本国内の反発にもつながった点を考慮。談話を「日本国民へのメッセージ」と位置づけ、幅広い理解を求める。
(後略)

『靖国、戦犯に言及回避要請 胡主席「談話」で日本側』(共同通信)

【北京26日共同】中国の胡錦濤国家主席が今月31日、日中友好議員連盟など日本側友好7団体の代表団(団長・橋本龍太郎元首相)と会談する際に表明を予定している「重要談話」について、小泉純一郎首相の靖国神社参拝やA級戦犯の問題に直接言及しないよう日本側が中国側に申し入れていることが26日分かった。
(後略)

上の2つのニュース記事では、胡錦涛国家主席が自主的に=「靖国」などへの言及を避けるのか、日本側友好7団体の要請を受けて言及しないように配慮するのかが、微妙に違っていますが、日本向け講話で「靖国」などへの言及を避ける方向で調整が進んでいるのは事実でしょう。
実際のところ、中国国内には対日強硬論が根強いため、どのような講話となるかは分かりませんが、9月の自民党総裁選を睨んで、日本国内で反中意識が高まることは「親中派」候補の足を引っ張ることになりかねないとの判断があるのでしょう。
今月23日、読売新聞の渡辺恒雄会長・主筆が日本外国特派員協会での講演で「、国会に戦争責任検証常任委員会を作ってもらい、国会としての意思表明をするのが一番良いと思う」と述べたようですので、国内では引き続き「靖国」などの問題に対する追求は続けられるようですが、中国からの声高な批判は控えられる方向になるということではないかと思います。

小泉総理の後継候補としては、相変わらず安倍官房長官が一番の有力候補であると思いますが、自民党内や経済界にはアジア外交を重視する勢力も強く、福田氏や谷垣氏を推す声も根強いものがあります。

中国や韓国を含めた対アジア外交が、総裁選の大きな目玉の一つであるでしょうから、一連のニュースは、その駆け引きと見ることもできるでしょう。

親中派」が胡錦涛国家主席の講話による「失点」を恐れる一方、「対中強硬派」はODA凍結で「得点」を稼ぐ目論見である、という見方はどうでしょうか?
(まあ、いずれにしても、現在の中国の「悪者」イメージが日本国内で固まりつつあるという認識に基く見方ですが)