何とかしなければ・・・

『多重債務者の4割、必要額以上の借り入れ勧誘体験あり』(読売新聞)

多重債務者の約4割が、消費者金融信販会社などから必要な金額以上の借り入れを勧められていたことが22日、国民生活センターの調査でわかった。
 借金を苦に自殺を考えた人は3割を超え、多重債務の深刻さをうかがわせている。
 調査は昨年11〜12月、34都道府県にある弁護士事務所や司法書士事務所などに相談に訪れた多重債務者585人を対象に実施した。
 多重債務者が初めて借金した時の年収は「200万円未満」(29・9%)が最多で、借金の理由として「収入の減少」(25・6%)や「低収入」(20・0%)を挙げる人が目立った。
 その後、新たな借り入れを行った理由では「借金返済」(51・5%)が最も多く、借り入れ件数は「5〜7件」(35・5%)が最多で「8〜10件」(27・1%)「11〜15件」(13・9%)が続いた。
 貸金業規制法では、貸金業者に対し、借り手の返済能力を超える貸し付けの契約締結を認めていないが、「必要な金額以上の借り入れを勧められた」ケースは38・6%に及んだ。「電話などで追加の借り入れを勧められ、店舗に行かないまま銀行口座にお金が振り込まれた」ケースも21・4%に上った。
 多重債務が生活に及ぼした影響は深刻で、「自殺を考えた」(35・0%)が最も多く、「ストレスから病気になった」(30・4%)「離婚や別居など家族崩壊を招いた」(22・6%)「職場を辞めた」(12・1%)などが目立った。

3年前に大阪府八尾市の踏み切りで、ヤミ金業者の厳しい取立てを苦にした60歳代の夫婦と妻の兄の3人が、電車に飛び込み自殺するという痛ましい事件もありました。
テレビやラジオでは、消費者金融のコマーシャルが頻繁に流されています。
お金を必要とする人に必要なだけ融資することは、問題はないのですが、必要でないお金まで余分に融資することは問題であるし、業者側の「ご利用は計画的に」なんていうお題目だけで許されるものではないでしょう。
消費者金融大手の経営者達が、日本代表として世界の資産家の中に多数名前を連ねる一方で、上の記事のような問題が発生しています。

『消費者金融利用時に生保加入 「命を担保」遺族提訴へ』(朝日新聞)

消費者金融大手「アイフル」(京都市)などからの借金を抱えて自殺した兵庫県明石市の女性(当時67)の長女(45)が、「母親がアイフルを受取人とする生命保険に加入させられ、死後に死体検案書などの提出を求められて精神的苦痛を受けた」などとして、同社に総額330万円の損害賠償などを求める訴えを23日、神戸地裁に起こす。この保険は「消費者信用団体生命保険」で、大手消費者金融では顧客に金を貸すと同時に加入させている。原告側は「事実上、命を担保にしており、厳しい取り立てを助長する」と指摘している。
 訴状などによると、女性は04年8月、自宅で首をつって自殺。05年6月、アイフルが長女側に、女性の債務の残元金約50万円を同保険の保険金で回収するため、受け取りに必要な死体検案書などの提出を求めたという。長女側は「見るのも苦痛な死体検案書の提供を要求されて精神的苦痛を受けた」としている。
 消費者信用団体生命保険は、顧客が死亡した場合、消費者金融が残債を保険会社から受け取る制度。複数の保険会社が合同して消費者金融と契約し、顧客は被保険者として融資時に加入する。保険料は消費者金融側が負担する。
 銀行の住宅ローンなどでも顧客が同種の保険に加入するが、全国銀行協会などによると、銀行側が加入を口頭で説明し、ローン契約と別の書面を用意するなど、同意を確認できる仕組みという。
 消費者金融大手では無人契約機の利用が多いうえ、金銭貸借の契約書と保険加入の同意書が同じ書面となる。アイフルなどは「顧客が同意書に署名し、オペレーターにも質問できるので同意は得ている」と説明している
 長女側は、契約時の書面に加入先の保険会社名や詳しい契約内容の説明がないため、生命保険加入は同意がなく無効だと主張。保険の幹事会社を務める明治安田生命保険アイフルに対し、保険金請求権が存在しないことの確認も求めている。
 長女の代理人の一人の辰巳裕規弁護士(兵庫県弁護士会)は「貸付額が少ない消費者金融では生命保険加入は必要なく、債務者を追い込む厳しい取り立てを招く恐れもある」と話している。
     ◇
 〈アイフル広報部の話〉 個別の案件は話せないが、遺族の負担を無くすための制度だ。

 〈明治安田生命保険広報部の話〉 訴状の内容を確認した上で対応したい。


消費者金融の場合、基本的に小額であれば、無担保のケースが多いと思いますが、自分の命は担保として入れているようなものですね。
私は消費者金融で借り入れをしたことはないのですが、借り入れをする際には、「消費者信用団体生命保険」への加入と受取人が消費者金融業者であることの説明は、どの程度ちゃんとされているのでしょうか。

安易に消費者金融業者を非難したり、多重債務者を擁護するのはどうかと思います。
しかし、消費者金融がここまで一般的なものになった以上、そのあり方を考える必要はあるでしょう。

今の日本社会は、「消費」が美徳とされ、「勤労」の価値が顧みられない面があると思います。
そのことは、子供の頃に読んだ「アリとキリギリス」の話を思い出させます。

私たちは「アリ」であることの「誇り」を忘れ、冬が来ることを知らない(もしくは意識的に忘れようとしている)「キリギリス」に成りつつあるのかもしれません。
そして、多くの日本人が「キリギリス」的な生活を送ることで、巨利を得ている人たちもいるのです。

食べ物に困った「キリリギリス」たちに、食べ物を貸すことを始めた一部の利口な「アリ」たちは、もう自分で働かなくても食べきれないほどの食料を手にするようになりました。
そして、借りた食料を返せなくなった「キリギリス」たちは、自分のからだを・・・・・・。(ちょっと不謹慎な例え話ですが)