『中国「イーストウッド監督で南京事件映画」 代理人「全くのウソ」』(産経新聞)

【ワシントン=古森義久】日本軍の南京攻略を題材とする映画が米国のハリウッドで著名な俳優のクリント・イーストウッド氏の監督で制作されるという情報が中国の新聞などで流されていたが、イーストウッド氏のエージェント(代理人)は二十四日、「全く事実に反する」と述べ、同監督の関与を完全に否定した。
 一九三七年の「南京事件を主題とするハリウッド映画」という話は一月十八日付の上海の新聞「文匯報」などによって伝えられた。同紙は、この映画が江蘇省文化産業グループなどの制作協力を受けてイーストウッド氏が監督、同氏と映画「マディソン郡の橋」で共演した人気女優メリル・ストリープさんが出演し、ハリウッド映画として作られ、二〇〇七年十二月の南京事件七十周年を記念して全世界で同時公開される予定となったとの記事を掲載していた。
(中略)
 しかし、イーストウッド氏の代理人を務めるウィリアム・モリス・エージェンシー社(カリフォルニア州ビバリーヒルズ)のレオナード・ハーシャン氏は二十四日、産経新聞の電話インタビューに応じ、「南京事件に関する映画にイーストウッドが出演するとか監督をするという話はまったく事実に反する」と述べた。さらに同氏は「イーストウッドがこの話にはまったくかかわっていないことを日本や中国の人たちに幅広く伝えてほしい」と強調するとともに、「私自身は数カ月前にこの話を中国の新聞で読んだという中国人から聞いたが、だれかが広め始めたデマだといえる」と説明した。
(中略)
 ハーシャン氏ら当事者のこうした否定表明から判断すると、「クリント・イーストウッド氏が南京虐殺の映画を監督する」という話はそもそも根拠がなく、中国側の政治プロパガンダ、あるいは政治謀略的なディスインフォメーション(故意の虚報)として広められた可能性も高くなってきた。
産経新聞) - 2月26日2時48分更新

以前に書いた『南京事件、ハリウッド映画に…メリル・ストリープ出演』(読売新聞)という記事の続報です。
正式にイーストウッド氏の代理人から「否定」コメントが取れたようです。
ただ、産経新聞はさらに一歩踏み込んで、「中国側の政治プロパガンダ、あるいは政治謀略的なディスインフォメーション(故意の虚報)として広められた可能性」を示唆しています。
さて、この「可能性も高くなってきた」とする「根拠」なのですが、それについての記述は産経新聞の記事からは見つけられません。
クリント・イーストウッド氏が南京虐殺の映画を監督する」という話はそもそも「根拠」がないということは、ハーシャン氏ら当事者の話から導き出せるわけですが、その先のプロパガンダうんぬんについては、「根拠」はあるのでしょうか?
誤報」や「虚報」、「飛ばし記事」である可能性が高いことは当初から分かっていたのですが、そこに中国側の、しかも政治的な「故意」を見つけるのは、それほど簡単なことではないと思うのですが・・・。