『金総書記の中国入り、北京外交筋が確認』(読売新聞)

tyujhg2006-01-12

【北京=末続哲也、竹腰雅彦】北京の外交筋は11日、北朝鮮金正日総書記が10日に中国入りしたことを確認した
 上海など地方の経済都市を視察した後、北京を訪れるとの見方が浮上している。ただ、中朝両国は訪中日程を一切公表しておらず、中国に入った後の金総書記の滞在地をめぐっては、情報が錯そうしている。
 金総書記の訪中は2004年4月以来、約1年9か月ぶりで、中朝間では昨年10月下旬に胡錦濤国家主席が訪朝して首脳会談を行ったばかり。北京では、胡主席ら中国首脳と会談し、核問題をめぐる6か国協議の再開問題や、経済協力強化など中朝関係全般について意見交換するとみられる。
(中略)
 金総書記は12日にも胡主席と会談する見込みで、上海などに滞在しているとの情報は、メディアの注意をそらすために伝えた可能性があるとしている。
 また、韓国の聯合ニュースは、金総書記は特別列車で移動せず、専用機で上海入りしたとする消息筋の話を報じた。前回訪中の帰路、北朝鮮の竜川駅で大規模爆発事故が起きたことを懸念したため、という。(センは土ヘンに「川」)

北朝鮮金正日総書記が訪中したらしいという報道が、様々に行われていますが、現在、北朝鮮が置かれている状況を考えれば、のんびり中国国内を視察している余裕はないのではないかと思います。
アメリカが行った経済制裁によって、北朝鮮の資金の流れが大きく影響を受けているようですし、核開発を巡る6ヵ国協議も再開の目処が立たない状況です。
そして、中国も、北朝鮮マネーロンダリング疑惑について、かばいきれなくなったようです。


『中国政府「北朝鮮、マカオ銀行でマネーロンダリング」』(朝鮮日報)

中国政府は3か月に渡る独自の調査結果、マカオ銀行を利用した北朝鮮の違法なマネーロンダリング疑惑を一部確認したことが今月11日分かった北朝鮮金正日キム・ジョンイル)総書記の突然の中国訪問が、これと関連があるかどうか注目を集めている。
 ソウルの複数の外交消息筋は、「中国側はこうした調査結果に基づいて、北朝鮮に適切なレベルの後続措置が必要であると説得している」とし、「宋旻淳(ソン・ミンスン)外交部次官補と中国の武大偉外務次官が、北京で会ってこうした問題について論議したと聞いている」と述べた。
 この消息筋らは、「昨年12月21日、中国の瀋陽で武次官が、北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官に直接会って『北朝鮮が違法な行為に関する責任を完全に免れることは難しい』という中国側の調査結果を通報したことを聞いた」とし、「これに対して金次官は『疑惑が事実の場合、後続の措置を検討できる』という立場を示した」と述べた。

米国は通貨偽造も含め、北朝鮮の犯罪行為に関して、かなり確かな証拠を握っているようですし、北朝鮮に対して断固とした姿勢で臨んでいます。
このような状況の中で、金総書記が今後の対応についての相談と経済的な支援要請のために、急遽訪中したと見るのが妥当なのではと思います。
中国の後、ロシアへも金総書記が向かうかどうかは分かりませんが、中国訪問で何らかの事態打開の目処を見出せない場合は、ロシアを頼る必要に迫られるのかもしれません。
昨年、中露が合同で行った軍事演習は、一説では北朝鮮防衛のシミュレーションだったと言われていますし、中露と日米が朝鮮半島を挟んで対峙するという構図は、冷戦終了後も続いているといえるでしょう。
その中で、北朝鮮に破綻の危機が訪れることは、極東アジアのパワーバランスを崩すことになり、大きな混乱を招くことになるでしょう。
そういう事態は、中露だけでなく、日米も歓迎できないものであるでしょうし、最近急激に親北政策を強めている韓国にとってでさえ、北朝鮮の崩壊によるなし崩し的な統一は望ましくないことではないかと思います。
ただ、北朝鮮の行っている核開発や通貨偽造などは、日米にとって軍事面と経済面での安全保障上の大きな脅威であることから、けっして見過ごすことができないものでもあります。
今後どのように北朝鮮問題が解決されるか、日本にとっても非情に重要な問題であると思います。
個人的には、中国が北朝鮮への指導力を強め、金一族による独裁政権を排除して、新たな中国の傀儡政権を樹立させた方が良いのではないかと思います。
ロシアも朝鮮半島に対する野心はあまり無いでしょうし、韓国との統一は現実的には混乱を招くだけだと思いますから。
そして、拉致問題も通貨偽造や麻薬の密売などとともに、金一族の犯罪行為として新政権により糾弾のうえ、解決されるという風になればなぁと、思ったりします。