『正常化交渉 日朝、1月末に再開 拉致・安保も並行協議合意』(産経新聞)

「拉致」をホワイトハウス前で訴え

【北京=大谷次郎】日本と北朝鮮の政府間対話は二十五日、北京市内で二日目の協議を断続的に行い、平成十四年十月以来、中断している国交正常化交渉を来年一月末をメドに再開することで合意した。日朝双方は国交正常化交渉のほか、拉致事件、核・ミサイルなどの安全保障問題をテーマ別で並行協議することで合意に達した。
 日本側代表の斎木昭隆・外務省アジア大洋州局審議官は二十五日夜、北朝鮮代表の宋日昊外務省アジア局副局長との協議終了後、北京市内のホテルで、「日本が提案した三つの協議を同時並行で進めていくことに北朝鮮も同意した」と表明。核問題については六カ国協議とあわせて開催することで一致した。
 また、今回の協議で日本側は、拉致事件の解決が国交正常化の前提であるとの基本方針を強調横田めぐみさんら安否不明者や特定失踪(しっそう)者に関する情報提供を要求し、生存している拉致被害者の早期帰国などを重ねて求めたが、北朝鮮側からは拉致被害者に関する新しい情報提供はなかった。
 日朝双方は、国交正常化交渉を大使級、拉致事件を審議官級、安全保障を局長級か審議官級で行うが、日本側は拉致事件打開の道筋が定かでないため難しい対応を迫られそうだ

拉致問題を「解決済みである」と主張する北朝鮮側と、「拉致事件の解決が国交正常化の前提である」とする日本側との隔たりは大きく、調整が難航していた日朝間交渉が、来年1月末を目処に再開することで合意に到ったようです。
現在、6ヵ国協議も米朝間の対立により、次回協議が不透明となっていますので、日朝間協議がよいきっかけとなればと思います。
ただ、「過去の清算を含む国交正常化」、「拉致を含む北朝鮮の人権問題」、そして「核とミサイル開発問題」の三つの協議を、並行して進めて行くことは、北朝鮮が望む「国交正常化」だけが進み、「拉致」と「核」が置き去りにされる危険性も含んでいます。
さらに、北朝鮮マネーロンダリングや偽札製造を巡って、対決姿勢を強めている米国と、日本との連携にヒビが入るような事態も避けるべきでしょう。
これまで、6ヵ国協議では脇役感の強かった日本ですが、北朝鮮を巡る様々な問題は、手をこまねいて見過ごしていられる状況でないことも明らかで、日本の主体的な外交努力が必要であると思います。
交渉を進めるに当たっては、米国との連携を一層深め(残念ながら韓国はもうあてにできないので)、事態の打開を図ってもらいたいと思います。
そして、それでも、北朝鮮が時間稼ぎ終始し、問題解決を先送りにするような態度を見せるなら、協議を速やかに打ち切り、経済制裁を行うべきでしょう。