『早い話が:米中のルーズベルト参拝=金子秀敏』(毎日新聞)

真珠湾攻撃から65年目の8日、ワシントンでは第2回米中定期高官協議が終わった。ゼーリック国務副長官が戴秉国(たいへいこく)外務次官に「中国は責任あるステークホルダーになれ」と言った。
 米国が市場開放や民主化を中国に迫った、ことになっている。でも、ステークホルダーってなんだ。「利害共有者」などと訳されているが、しっくりこない。
 その意味は翌日、明らかになる。
 副長官は、ニューヨーク州ハイドパークにあるフランクリン・D・ルーズベルト元大統領の邸宅と記念図書館へ、雪模様のなかわざわざ戴次官を案内したのである。共産党の位では戴次官が李肇星(りちょうせい)外相より上だ。
 真珠湾記念日の翌日に、中国高官を真珠湾当時の米大統領邸に案内した。
 地元のポキプシー・ジャーナルによると、「(米国や中国など)連合国の指導者たちによる戦中戦後の重要な役割に焦点を当てるため」と国務省広報官は解説したそうだ。
 米国と中国の高官は、ルーズベルト邸をともに参拝して、かつて連合国同士だった記憶を新たにした。小泉純一郎首相の靖国神社参拝へのしっぺ返しだ。 ルーズベルトは大戦末期、戦後の国際秩序を維持する組織として「四人の警察官(米英ソ中)」を構想した。それがいまの国連の土台になった。
 ハイドパークで中国高官は、米国の要求する「ステークホルダー」という言葉に「四人の警察官」のイメージを重ねたことだろう。
 後期ブッシュ政権は、台湾の民主主義を礼賛し、中国に人権改善を求めながら、中国寄りに振れている。中国もヒステリックな反応を控えている
 副長官は、最近メディアとのインタビューで鄭必堅(ていひっけん)氏の政策論文を高く評価した。鄭氏は元中国共産党中央宣伝部副部長。胡錦濤(こきんとう)国家主席の知恵袋だ。
 鄭氏の思想を一言で言えば「和をもって貴しとなす」だ。出典は、聖徳太子ではなく「論語」。もう少し長く言えば、外交では和平の追求、内政では和諧(わかい)(調和)の追求、台湾との関係では和解の追求という「三和」理論である。
 米国の国務副長官が鄭氏を評価したのは、胡政権の中国を評価しているという意味なのだ。そろそろ靖国参拝の袋小路から出ないと、日本は米国にも置いていかれる。(論説委員毎日新聞 2005年12月15日 東京夕刊

ステークホルダー(Stakeholder)は「利害関係者」という意味が一般的みたいですが、米中はすでに国際社会において、様々なかたちで利害関係はあると思います。
ですから、ゼーリック国務副長官の「中国は責任あるステークホルダーになれ」という発言においては、「責任ある」という部分が重要なのだと思います。
そして私は、「中国は利害関係者として責任ある行動をとるべきだ」くらいの意味だと思います。
しかし、その発言とともに翌日のルーズベルト邸参拝?を持ち出して、小泉総理の靖国神社参拝批判まで持っていくあたりは、金子秀敏氏もなかなかやります。(笑)
最後の一文が「そろそろ靖国参拝の袋小路から出ないと、日本は米国にも置いていかれる。」と纏められていますが、そろそろ靖国参拝の袋小路から抜け出すべきは、毎日新聞と金子氏の方なのでは?と思ったりします。
日韓友情年も金子氏にかかればこのとおり、『社説:視点05・こんなはずでは… 竹島の日 論説委員・金子秀敏(毎日新聞)』