『無知な消費者が、まともな業者を潰している事実』

『「鉄筋、明らかに少ない」 情報提供の代表証言』(共同通信)

耐震強度偽造問題で、姉歯秀次1級建築士(48)による構造計算書の偽造を見抜き、民間検査機関の日本ERI(東京都港区)やイーホームズ(新宿区)に情報提供した東京都渋谷区の設計事務所代表(44)が1日、偽造を見抜いた経緯について「鉄筋の数が明らかに少なかった」などと語った。
 代表によると、偽造を最初に発見したのは昨年2月。東京都港区内の物件についてデザイン設計事務所の依頼で図面の確認をしたところ、本来は32ミリの鉄筋が23本必要な部分に25ミリの鉄筋が9本しか入らない構造になっていた。
 代表は、地震に対する水平力の耐震強度を示す数値が通常の4分の1程度しかないことに気付き、日本ERIに「何か起きたら大変なことになる」と連絡。日本ERI側は調べようとする雰囲気ではなかったという。

耐震強度偽装に関わった業者が加害者で、偽装された物件を買った人たちが被害者なのは明らかだと思うので、加害者の責任は徹底的に追求されるべきだと思います。
一方で、不動産、建設業界に限らず、広くどの業界でも、行き過ぎたコスト削減による品質悪化は顕著なことだとも思います。
安い商品には、安くなる「わけ」があるのが当然で、その「わけ」がどのようなものであるか明確でないなら、「わけ」有り商品を購入するには、消費者にもそれなりの「覚悟」が必要なんでしょうね。
そして、消費者がいかがわしい「わけ」有り商品に群がることで、一番割を食っているのは「まともな業者」ともいえるのではないでしょうか。
「まともな業者」が「消費者」を信頼して、良い品質の商品を世に送り続けたいと思うのに対して、「悪徳業者」は「消費者」を見くびって、いかがわしい「わけ」有り商品を市場に撒き散らしています。
最近の原油高にも見られたように、原料コストは全般的に上昇傾向にあると思うのですが、そのコストアップ分を、製品単価の値上げとしてプラスオンできる業者が、現在の日本にどのくらいあるでしょうか。
特に中小企業では、原料コストの上昇分を、自社で吸収せざるを得ないところが多いのではないでしょうか。
そういう意味では、「まともな業者」が「悪徳業者」に変身する環境は、依然として続いていると思えます。
日本はこれから、ますます自由化が進んで行きます。
『MADE IN JAPAN』の商品やサービスにおいてさえ、一定品質が保証された時代は過去のものとなり、玉石混交の市場の中で、消費者の「自己責任」が厳しく問われるようになるでしょう。
そして、日本の市場で、「悪徳業者」がのさばるか、それとも、「まともな業者」が公正な競争を進めるのかは、消費者である我々の責任であるとも言えるのではないでしょうか。