皇室の後継問題についての私見

まず最初に以下の2点を述べておきます。

・私は深く天皇陛下と皇族の皆様を尊敬し、末永く日本の天皇制が維持されることを心より願っています。

・さらに、日本の伝統ならびに歴史、そしてそれに基いて築かれた日本の文化を大切に思い、よりよい伝統を後世に伝え、立派な歴史と文化を築いていけたらと思っています。

そして、皇位継承問題についても、以下の基本的な考えを最初に書いておきます。

皇位継承問題を含む皇室典範改正については、慎重かつ広範な議論が行われた上での改正であるべきだと思っています。

・そして、女性天皇女系天皇の違いに代表されるような、皇位継承問題における基本的でかつ重要なポイントが国民に周知され、その上で、できるだけ多くの国民が賛同できるような改正とすべきだと思っています。

以上のような私の基本的なスタンスを説明させていただいたうえで、以下に私の皇位継承に関する考えを書かせてもらいたいと思います。
尚、以下は私の個人的な意見であり、その内容・表現が皇室に対して不敬にあたるところがあるかもしれませんので、その点につきご理解とご容赦をいただいた上で、お読みいただけたらと思います。


まず、皇位継承につき色々な論点が存在しますが、参考として以下のリンクをお読みいただければと思います。

皇室典範に関する有識者会議

「女系天皇は容認できない」(ぼやきくっくり)

これまでの皇室は、「男系」によって神武天皇までつながる所謂「万世一系」を維持しており、「女性天皇」は過去に存在していますが、その存在はあくまで一時的なもので、その後は「男系男子」の天皇が即位して皇統を今日まで伝えてきました。
その伝統は世界でも類のないことであり、世界の王室、政府から最高の敬意を祓われる存在です。
そして、現在の皇室典範では、天皇になれるのは「男系男子のみ」とも規定されています。
しかしながら、天皇家には秋篠宮さま以来40年間にわたって男子の誕生がないことから、皇室典範改正と「女性天皇」および「女系天皇」を認めるかという議論になっています。

最初に私の考えを述べますと、私は「女性天皇」および「女系天皇」を容認することに賛成です。

一番上に書きましたように、私は深く天皇陛下と皇族の皆様を尊敬しております。
その理由は、天皇陛下ならびに皇族の皆様が、己を捨てて公に奉仕することに徹して、一般の国民に与えられる基本的な権利さえない境遇にありながら、ひたすら国と国民の平和と安寧を願っていらっしゃる姿やお言葉に接したとき、その真心に強く心を打たれ深い感動を覚えるからです。
天皇陛下はつねに日本人のあるべき姿を体現し、日本の伝統的価値観である滅私奉公を身を持って指し示してくださっているように思えます。
その意味では、天皇陛下は日本人の理想の姿であり、生物学上は人間であっても、現人神というか神に近い存在であると私には思えます。
そしてそのような稀有な存在を国の中心に戴き、国民が高い理想を掲げて新たな文化と歴史を形作ってきたことは、非情に尊いことであり、その伝統は守って行きたいと考えます。
さらに言えば、そのような天皇陛下と皇室のあり方は、日本国民だけでなく、世界中の人々にも好意的に受け入れられ、皇族の方々の常に礼節にあふれた紳士的な態度と、真心のこもったお言葉によって、多くの人々から尊敬される存在となっているとも思います。
私はそういう皇室のあり方と、その皇室を模範として国民が自らと世界の平和と発展に努めることが、日本のよりよき伝統であり、私たちが目指すべき理想の姿であると思います。
「開かれた皇室」という言葉がありますが、私は皇室を国民の身近な存在にするという意味だけではなく、日本人が掲げる高い理想を世界の人々にも広く知らしめるために、世界の人々にも広く「開かれた皇室」となることを願ってもいます。

そのようなことを考えた場合、日本の国民と世界の人々に向けてその後継問題についての答えを指し示す時に、「女性天皇」および「女系天皇」を認めないとするのは、世界の民主主義国家のほとんどで認められた男女平等の精神より、皇室は「万世一系」という伝統を重んじるものだというメッセージを送ることになるのではないでしょうか。
私は、日本国憲法で謳われる男女平等の精神が、基本的人権の外にある皇室に適用されると考えているわけではありませんが、今日的な民主主義国家の根本原則である男女平等という理念を、男尊女卑の時代ならいざ知らず、21世紀である今日において、ないがしろにすることが日本人の求める理想的精神なのかと思うのです。
さらに横道に逸れることを恐れずに言えば、天皇家は神代の時代から連なると吹聴することも、皇室に対して知識と理解をあまり有していない人にとっては、誤解を招く基となるでしょうし、天皇制度の廃止と日本の伝統的価値観を破壊することを目指している勢力にとっては、攻撃の糸口になるのではないかと思っています。
そして、さらに、他国にはない皇室の長い伝統と、国際的な地位の高さを権威の拠り所として、日本国民がその虚栄心を満足させ、その優越性に誇りを感じるようなことは、天皇制の本質からはかけ離れた考え方であると思います。
昭和天皇がそれまでの長い伝統であった側室制度を廃止されたのも、広く国民の間で認知されたその当時の今日的価値観に照らした時、側室制度は廃止すべきであると考えられたのではないかと私は愚考しています。
その側室制度の廃止が、ある意味、今回の継承問題までつながっているとも考えられるわけで、伝統を重んじるばかりに、守るべき気高い精神に背を向けることは、あってはならないと思います。

以上が、私が「女性天皇」および「女系天皇」を容認することに賛成する主な理由です。
その他にも論点は多数存在すると思いますが、私の言いたいことは以上です。

皇室の権威はその長い伝統によって裏付けられていますが、その伝統が皇室の存在意義の核心だとは私には思えないのです。