『「民衆・民族」で真実を覆い隠す歴史教科書』(朝鮮日報)

高校の近・現代史教科書が、旧韓国末(大韓帝国期)の歴史に関してまでも、生徒たちに民衆・民族理念を吹き込むことに集中するあまり韓半島の運命に決定的な影響を及ぼした各列強の国際関係もまともに記述していないため、国益に関する生徒たちの歴史的判断能力を損ねていると歴史学者の重鎮、漢陽(ハンヤン)大学の崔文衡(チェ・ムンヒョン) 名誉教授が批判した。
 崔教授は今月15日開かれる「教科書フォーラム」のシンポジウムで発表する論文で、各教科書が「民族統一を目指す民衆・民族主義を至上目標とする特定理論にそのまま則った」結果、国が滅びた原因も客観的に教えることができないでいると主張しながらこのように指摘した。
 崔教授は金星(クムソン)出版社をはじめとする6つの出版社の近・現代史教科書を分析し、これらの教科書が、韓国が日本の植民地に落ちぶれる契機となった清日戦争、露日戦争のような国際的事件に対する記述が、わずか1〜2行にとどまっていると主張した。
 その反面、東学農民運動(1894年、東学という新興宗教を中心に全羅(チョルラ)地域ではじまった外部勢力の排除を呼びかけた農民運動)については、近代史の全体分量の6分の1、または、7分の1を割いており、韓国の近代史がまるで東学運動を中心に展開されたかのような印象を与えていると説明している。
 歴史教科書は、基本的に事実に基づかなければならず、その上に育つ世代が賢明に次の時代を切り開けるよう知恵と教訓を与える内容でなくてはならない
 19世紀末の韓半島は、以前から宗主国を自任していた清と日本、ロシア、英国、米国などの帝国主義列強が集まって朝鮮の支配をめぐって競争を繰り広げた外交・軍事的の草刈り場だった。こうした状況の中で、すべての国内事件が国際情勢と歯車のようにかみ合って展開された。
 両班(朝鮮時代の貴族)を攻撃し、外部勢力を排除したとして近代民族・民衆運動の象徴的事件だと評価されている東学農民運動でさえ、「天佑侠」という日本のナショナリズム団体の支援を受けていた跡が論争を呼んでいるのが現状だ。
 歴史教科書はそうした過去の時代を扱ううえで、極めて複雑に展開した韓半島周辺の列強の動きに対して当時どのように対処した結果、国権を失うことになったのかを客観的に考察し、未来の教訓にするのが筋であろう。
 こうした本筋には目を背け、「民族」や「民衆」の名前の下で特定理念を叩き込み、亡国に対するナルシズム的合理化を植え付けるとしたら、そんな歴史教育は、次の世代を「盲の国際人」にしてしまうに違いない

タイトルだけ見ると、また日本の歴史認識を批判しているのか?と思いましたが、何と、「自国の歴史教科書が偏りすぎている」という、すごくまっとうなものでした。
ノムヒョン政権が、南北統一を加速させつつある中で、北に振れすぎた振り子を、何とか戻そうとする動きも活発化しつつあるようです。
米国も、北朝鮮と、それを擁護し続ける韓国には、かなり強硬な態度を示すようになって来ていますから、これから当分の間、朝鮮半島と極東地域は、不安定な状態になるでしょう。
日本も憲法改正などの法整備を急いで、有事に備える必要があるでしょう。