中国東北部で河川の毒物汚染による大災害発生中

中国松花江「泡の川」 (東亜日報)

『【中国】外交部:アムール川の汚染対策で露と協力』(サーチナ・中国情報局)

中国外交部の劉建超・報道官は24日の定例記者会見で、吉林省吉林市で13日起きた化学工場爆発事故による松花江の汚染された水が中ロ国境を流れる黒龍江アムール川)に達する見通しを受けて、ロシア・ハバロフスク市当局が24日、非常事態宣言を出す方針を決めたことについて、「隣国に与える影響を非常に重視しており、すでに複数回にわたりロシア側に汚染状況を報告している」と語った。
 劉・報道官によると、中国国家環境保護総局の解振華・局長は24日午後、駐中ロシア大使に最新の汚染状況および詳細データを報告。双方は、緊密に協力し合い、地方政府と随時連絡を取ることで、汚染による人々の生命の危険を回避することを確認した。
 劉・報道官は、「中国側は現在、できる限りの措置をとって、汚染による被害を最小限に食い止めるよう努力している」と語った。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

中国の松花江中国東北部の大河の一つで、アムール川最大の支流です。
上の記事では、中国共産党政府(以下中共政府)がロシアに対して、すばやく事態を連絡し、その結果、ロシアのハバロフスク市は非常事態宣言を出すようです。
さらに、中共政府が被害を最小限に食い止めるよう努力している姿勢がアピールされています。

しかし、私が最初にこの事態を知った大紀元の記事では、以下のようになっています。


『中国ハルピン市:全市緊急断水、水源の毒物汚染か』(大紀元)

大紀元日本11月23日】11月21日午後4時ごろ、ハルピン市政府は突然全市で4日間の断水を宣告した。断水の理由について、関係部門は「水道管の緊急点検」と称しただけで、詳しい説明はされていない。22日政府が改めて公告を出し、断水の理由を13日に吉林石化公司のジアニリン工場の爆発事件で、松花江上流の水源汚染の可能性があると訂正した。市民の間で水源の毒物感染と大地震発生説が広がっており、市外に繋がる飛行機と汽車の切符はすでに完売となり全市はパニック状態。今回のような全市範囲での断水は史上初だという。
(後略)

松花江の流域にあるハルピン市は人口400万人といわれる大都市です。
上の記事を読む限りでは、当初、中共政府は事態の詳細をハルピン市民には伝えず、その結果、対策が遅れたり、流言などの誤った情報が流布したために、かえって混乱が増したように思われます。
これまでにも、中共政府は疫病や災害、暴動などの自らに都合の悪い情報は隠蔽する体質があり、最終的に隠し通すことができなくなって初めて、公表されることがしばしばありました。
さらに、その中共政府の御用新聞である日本の朝日新聞は、最初以下のように報道していました。


『汚染水流、水源近くに到着 中国・ハルビン』(朝日新聞)

2005年11月24日19時49分
 中国黒竜江省ハルビン市で水源である松花江水質汚染の恐れから水道水の供給が停止されたことを受け、中国政府は24日、汚染水流が水源近くに到達したと発表した。また外務省の劉建超(リウ・チエンチャオ)副報道局長は24日、同省に隣接し、松花江下流が流れるロシアに汚染状況を通達したことを明らかにした。
 現地からの情報によると、大きな混乱は伝えられていない。

現地からの情報がどのようなものであったかは分かりませんが、「大きな混乱は伝えられていない」という表現は、中共政府の意向に沿ったもののように思います。
それでも、他社の報道や中共政府が公に事態の深刻さを認めると、次のような報道に変わっています。


『有害物質の流入、100トンに ハルビンの水道水停止』(朝日新聞)

2005年11月24日23時54分
中国黒竜江省ハルビン市で水源汚染の恐れから水道水の供給が停止された問題で、中国政府は24日、隣接する吉林省の化学工場爆発で松花江に流れ込んだベンゼンなどの有害な化学物質が計約100トンに上ったことを明らかにした。汚染水は24日、ハルビン市の水源に到達。下流のロシア極東地域でも警戒が強まっており、住民による飲料水の買い占めといった動きも出始めた。
 北京で記者会見した国家環境保護総局の張力軍副局長によると、汚染水は河川中で約80キロの長さにわたっており、ハルビン市周辺を通過するには約40時間かかる見通しだという。香港紙は、水道水の供給が止まったハルビンで、飛行機やバスでほかの都市に避難する市民が相次いでいる、と報じている。
 ベンゼンを大量摂取すると造血機能などに障害が出るとされる。
 汚染水は約14日後に松花江下流にある黒竜江アムール川)に達するとみられている。

「住民による飲料水の買い占め」が、ハルピン市で起こっているのか、下流のロシア極東地域でおこっているのか、微妙に分からない表現となっていますが、ハルピン市から「避難する市民が相次いでいる」ということは認めています。

中国の経済発展が進むことで、中国国内での環境破壊が深刻なものとなっていることは、これまでもかなり報道されてきました。
そして、無計画に消費され続ける資源や、大量に排出されるCO2の問題などは、中国一国だけの問題のレベルを超えて、全世界的な問題であると思います。
そして、鳥インフルエンザに関しても、中共政府の隠蔽体質が続く限り、憂慮せざるをえません。
中共政府が自国民の生命の安全と自国内の環境保護について、軽視する姿勢を続け、経済発展を優先し続けることは、13億という人口と広大な国土を持つ中国であるが故に、世界に与える影響は甚大であるのは明らかでしょう。