包囲網

昨日、1980年6月に大阪市の原敕晁(ただあき)さん(当時43歳)が拉致された事件に関して、原さんが働いていた中華料理店など関係先に家宅捜索を行うとともに、関係者に対して事情聴取を行っています。(『原さん拉致に協力した16人判明、一斉聴取へ』(読売新聞)
事件発生後25年が経過しての捜査については、遅きに失したという意見も見られますが、これまで手が付けられなかった大きな闇に、一歩一歩近付いているように思います。

さらに、米国も北朝鮮への強硬な姿勢は維持しており、今月22日EU本部のあるベルギーのブリュッセルで「北朝鮮人権大会」が行われるなど、欧州との連携も見られます。

そして、昨日(23日)オーストラリアでは、麻薬密輸の容疑で3年前に拿捕された北朝鮮船籍の貨物船が、豪州空軍の軍事演習の標的として、海中に撃沈されました。(『だ捕の北朝鮮の麻薬密輸船、軍演習の「標的」で撃沈』(CNN)

金総書記の中国電撃訪問で、体制維持に一筋の光明が見えたかに思われた北朝鮮ですが、欧米諸国による包囲網は少しずつ狭まりつつあるようです。

それから、日本とオーストラリアの関係では、米国も交えた「戦略対話」が今月18日シドニーで、麻生外相、ダウナー豪外相麻生外相、ライス米国務長官が出席して行われました。
「戦略対話」の中では、北朝鮮やイランの核開発問題とともに、躍進著しい中国に対する問題を中心に、協力関係の強化が話し合われたものと思われます。(『日米豪、初の戦略対話 中国の建設的関与を歓迎』(朝日新聞)
共同声明では「(中国の)建設的な関与を歓迎する」と表明されましたが、中国の不透明な軍事力増強に対する不信感は、参加国の中に根強く残っているものと思われます。

そして、北大西洋条約機構NATO)が連携強化に乗り出しているという報道もあります。
『NATOが日豪と連携強化へ、麻生外相を5月招待』(読売新聞)

ブリュッセル=林路郎】北大西洋条約機構NATO)は、日本、オーストラリアとの関係強化の一環として、5月初旬にブリュッセルで開かれる理事会に麻生外相を招待することを決めた。
 麻生外相は4日に日本の閣僚として初めて理事会で演説し、関係強化に向けた日本の姿勢を示す。
 NATO関係者が本紙に明らかにした。NATOは冷戦終結後、アフガニスタンでの治安維持やイラクでの治安部隊訓練、パキスタン地震の被災地支援など、欧州から離れた「域外」での任務が増えており、デホープスヘッフェル事務総長らは、アジアを中心に同様の任務を抱える日豪との連携を働きかけていた。
 NATO関係者は、日豪が「自由、民主主義の価値観」「作戦能力が高い」「国際貢献の実績」という点で、「NATOとの共通点が大きい」と評価している。日豪との関係強化は、台頭する中国を政治的にけん制する意味もありそうだ。
 NATO側は、11月にラトビアのリガで開く首脳会議に向けて協力分野を具体化させる方針で、麻生外相を招く際に、日本側と協議を詰める。日・NATO間では、人道支援や災害対処に関するNATOの演習に自衛官を非公式のオブザーバーとして参加させる案も浮上している。また、日本の幹部自衛官1人が今夏からローマのNATO防大学に留学する。NATOは、韓国、ニュージーランドとも日豪と同様の連携強化を検討している。
(2006年3月23日3時7分 読売新聞)

表向きは、災害および人道支援における協力関係の強化が主眼なのでしょうが、「「自由、民主主義」陣営の対中包囲網と見ることもできるかもしれません。

米国は、中国と並ぶ人口大国であるインドとも関係を強化していますので、着々と対中包囲網は構築されているように思えます。

一方中国も、国連に多くの議席数を占めるアフリカ連合との結びつきを、多額の経済支援や武器援助で強めるとともに、米国のお膝元ともいえる中南米諸国とも関係を深めています。

ロシアはこれまでも中国と、国際的テロ行為に対抗することを名目に中央アジア民主化の嵐の食い止めで連携してきましたが、最終的に中国と欧米諸国の対立が深刻化した場合には、日和見を決め込むのではないかと思います。

いずれにしても、包囲網と言ってもそれほどはっきりとしたものではありませんが、経済的に躍進著しい中国が、かつて日本が経験したようなバッシングを受けることはありうるでしょうし、中国の不透明な軍事力増強や、手段を選ばない資源確保が続けば、関係各国との間に無用な緊張状態を生むことになるのではないでしょうか。

そして、冷戦の孤児ともいえる北朝鮮が無謀な恫喝外交をくりかえし、一方の双生児である韓国も、肥大した自尊心から「バランサー」などという夢物語を言い出すことで、東アジア情勢は恐ろしく安定を欠くものになっています。
さらに、中国の肥大化に伴い、それに対抗する西側勢力も結束を固める必要に迫られます。
すると、中国も自陣営の強化に発展途上国を味方に付け、この東アジア地域で睨み合う国際的なパワーは膨れ上がって来ているといえるのではないでしょうか。

そのパワーバランスが崩れるか、どちらか一方がその緊張状態に耐え切れなくなったときに、思わぬ軍事衝突が起こる危険性があるでしょうし、その微妙な均衡の間でフラフラと揺れ動く存在は、両陣営にとっては大きな迷惑と言うか、頭痛のタネと言えるでしょう。

そういう意味でも、北朝鮮に対する圧力は国際情勢を見ながら慎重に行うべきでしょうが、同時に、韓国、北朝鮮ともに、自国のちょっとした行動が、大きな国際問題のきっかけになりうる、そんな状況が東アジアで発生している事実に気付くべきでしょう。
まあ、両国ともに気付いているのでしょうが、それは決して両国の国際的影響力が増したからではなく、かつてヨーロッパであった東西冷戦の構造が、東アジアで発生しているだけであることも、合わせて考えるべきものでしょう。
北朝鮮が自らの体制維持にその緊張状態を利用し、韓国が自らの自尊心を満足させることに使っている状況は、あまりにも愚かと言う以外ないでしょう。

生駒市長のブログが炎上?している件

今年1月に行われた生駒市奈良県市長選挙で、当選した山下真(やました・まこと)新市長(37)のブログ「山下真の活動日記」が炎上?というか、コメント欄に市民の批判的書き込みが殺到しています。
ことの発端は、新市長が当選後間もなく、生駒市から隣の奈良市に引っ越したことでした。
詳しくはこちら。
「奈良市内に転居致しました」(山下真の活動日記)
夫婦共働きのうえに、当選後の2月に子供ができた(しかも双子)ため、仕事と子育ての両立のために、婦人の勤務地である奈良市に住居を移すことにした、というのが引越しの理由なのですが、市民感情として市長が市内に居住しないことを問題視したカキコミが多数寄せられたというものです。
ただ、日記の文末に「なお、公職選挙法上、市長は市内に住むことが条件とされておりませんので、法的には何ら問題ありません。」などという、挑戦的ともとれる?一文が載せられたことも、市民の怒りを買った要因ではないかとも思われます。

そして、翌日の日記「転居について 」(山下真の活動日記)で、山下市長は改めて弁明を行いましたが、そのコメント欄には、前日をはるかに上回るコメントが寄せられました。

まあ、カキコミの多くが対立候補の支援者によるものである可能性もあるのですが、37歳の新市長にとっては、就任早々大変な事態を招いてしまいましたね。

私は生駒市民でも何でもないので、とやかく言う資格はないかもしれませんが、傍観者として無責任なことを書かせてもらいますと、

1.仮に、市長が生駒市内にとどまる代わりに、育児のために公務に当てる時間が減ったとすると、どうなのか?
2.仮に、市長が子育てを婦人に任せっきりにして、公務に専念した場合、人としての評価はどうなのか?
3.仮に、市長が生駒市内にとどまるために、婦人が仕事を辞める事になったり、婦人が生駒市内で職探しをしなければならなくなったら、どうなのか?
4.仮に、次の選挙で市内在住の無能な候補者と、他の市町村に住む有能な候補者が立候補をしたら、どちらを選ぶのか?

考えれば、もっともっと出てきそうですが、うちのブログまで延焼してはかなわないので、このあたりにしておきます。

そして、最後にいつもお世話になっている、世界一格調高い我らが「朝鮮日報」から記事を引用させてもらいます。
『米紙「李前首相辞任は民主主義の未成熟さが原因」』(朝鮮日報)

李海瓚(イ・へチャン)前首相のゴルフ問題は、東アジア地域の未成熟な民主主義が原因となっている、と米USトゥデー紙が21日、報じた。
 同新は、李前首相がゴルフ問題の発覚で辞任に追い込まれたことと関連、「政党が政策を通じて争うよりも、政敵の倫理問題を指摘することに没頭する典型的な東アジア地域の事件」と説明した。
(中略)
また、タイでタクシン首相の株式売却問題と関連、数千人のデモ隊が首相官邸前で辞任要求のデモを起こしたのも、成熟していない民主主義のためだと指摘した。
 USトゥデー紙はフィリピンや台湾の政治的不安定も紹介しながら、「東アジアの民主主義は、複雑な社会が提起する各種の問題とは関係なく、政治的闘争で疲れ果てている」と分析した。
(後略)

トラックバック
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20060309/p1

何とかしなければ・・・

『多重債務者の4割、必要額以上の借り入れ勧誘体験あり』(読売新聞)

多重債務者の約4割が、消費者金融信販会社などから必要な金額以上の借り入れを勧められていたことが22日、国民生活センターの調査でわかった。
 借金を苦に自殺を考えた人は3割を超え、多重債務の深刻さをうかがわせている。
 調査は昨年11〜12月、34都道府県にある弁護士事務所や司法書士事務所などに相談に訪れた多重債務者585人を対象に実施した。
 多重債務者が初めて借金した時の年収は「200万円未満」(29・9%)が最多で、借金の理由として「収入の減少」(25・6%)や「低収入」(20・0%)を挙げる人が目立った。
 その後、新たな借り入れを行った理由では「借金返済」(51・5%)が最も多く、借り入れ件数は「5〜7件」(35・5%)が最多で「8〜10件」(27・1%)「11〜15件」(13・9%)が続いた。
 貸金業規制法では、貸金業者に対し、借り手の返済能力を超える貸し付けの契約締結を認めていないが、「必要な金額以上の借り入れを勧められた」ケースは38・6%に及んだ。「電話などで追加の借り入れを勧められ、店舗に行かないまま銀行口座にお金が振り込まれた」ケースも21・4%に上った。
 多重債務が生活に及ぼした影響は深刻で、「自殺を考えた」(35・0%)が最も多く、「ストレスから病気になった」(30・4%)「離婚や別居など家族崩壊を招いた」(22・6%)「職場を辞めた」(12・1%)などが目立った。

3年前に大阪府八尾市の踏み切りで、ヤミ金業者の厳しい取立てを苦にした60歳代の夫婦と妻の兄の3人が、電車に飛び込み自殺するという痛ましい事件もありました。
テレビやラジオでは、消費者金融のコマーシャルが頻繁に流されています。
お金を必要とする人に必要なだけ融資することは、問題はないのですが、必要でないお金まで余分に融資することは問題であるし、業者側の「ご利用は計画的に」なんていうお題目だけで許されるものではないでしょう。
消費者金融大手の経営者達が、日本代表として世界の資産家の中に多数名前を連ねる一方で、上の記事のような問題が発生しています。

『消費者金融利用時に生保加入 「命を担保」遺族提訴へ』(朝日新聞)

消費者金融大手「アイフル」(京都市)などからの借金を抱えて自殺した兵庫県明石市の女性(当時67)の長女(45)が、「母親がアイフルを受取人とする生命保険に加入させられ、死後に死体検案書などの提出を求められて精神的苦痛を受けた」などとして、同社に総額330万円の損害賠償などを求める訴えを23日、神戸地裁に起こす。この保険は「消費者信用団体生命保険」で、大手消費者金融では顧客に金を貸すと同時に加入させている。原告側は「事実上、命を担保にしており、厳しい取り立てを助長する」と指摘している。
 訴状などによると、女性は04年8月、自宅で首をつって自殺。05年6月、アイフルが長女側に、女性の債務の残元金約50万円を同保険の保険金で回収するため、受け取りに必要な死体検案書などの提出を求めたという。長女側は「見るのも苦痛な死体検案書の提供を要求されて精神的苦痛を受けた」としている。
 消費者信用団体生命保険は、顧客が死亡した場合、消費者金融が残債を保険会社から受け取る制度。複数の保険会社が合同して消費者金融と契約し、顧客は被保険者として融資時に加入する。保険料は消費者金融側が負担する。
 銀行の住宅ローンなどでも顧客が同種の保険に加入するが、全国銀行協会などによると、銀行側が加入を口頭で説明し、ローン契約と別の書面を用意するなど、同意を確認できる仕組みという。
 消費者金融大手では無人契約機の利用が多いうえ、金銭貸借の契約書と保険加入の同意書が同じ書面となる。アイフルなどは「顧客が同意書に署名し、オペレーターにも質問できるので同意は得ている」と説明している
 長女側は、契約時の書面に加入先の保険会社名や詳しい契約内容の説明がないため、生命保険加入は同意がなく無効だと主張。保険の幹事会社を務める明治安田生命保険アイフルに対し、保険金請求権が存在しないことの確認も求めている。
 長女の代理人の一人の辰巳裕規弁護士(兵庫県弁護士会)は「貸付額が少ない消費者金融では生命保険加入は必要なく、債務者を追い込む厳しい取り立てを招く恐れもある」と話している。
     ◇
 〈アイフル広報部の話〉 個別の案件は話せないが、遺族の負担を無くすための制度だ。

 〈明治安田生命保険広報部の話〉 訴状の内容を確認した上で対応したい。


消費者金融の場合、基本的に小額であれば、無担保のケースが多いと思いますが、自分の命は担保として入れているようなものですね。
私は消費者金融で借り入れをしたことはないのですが、借り入れをする際には、「消費者信用団体生命保険」への加入と受取人が消費者金融業者であることの説明は、どの程度ちゃんとされているのでしょうか。

安易に消費者金融業者を非難したり、多重債務者を擁護するのはどうかと思います。
しかし、消費者金融がここまで一般的なものになった以上、そのあり方を考える必要はあるでしょう。

今の日本社会は、「消費」が美徳とされ、「勤労」の価値が顧みられない面があると思います。
そのことは、子供の頃に読んだ「アリとキリギリス」の話を思い出させます。

私たちは「アリ」であることの「誇り」を忘れ、冬が来ることを知らない(もしくは意識的に忘れようとしている)「キリギリス」に成りつつあるのかもしれません。
そして、多くの日本人が「キリギリス」的な生活を送ることで、巨利を得ている人たちもいるのです。

食べ物に困った「キリリギリス」たちに、食べ物を貸すことを始めた一部の利口な「アリ」たちは、もう自分で働かなくても食べきれないほどの食料を手にするようになりました。
そして、借りた食料を返せなくなった「キリギリス」たちは、自分のからだを・・・・・・。(ちょっと不謹慎な例え話ですが)

日本、WBCの初代王者に

『日本代表、キューバを破り、初代世界一に!! 』(スポーツナビ)

王JAPANが苦闘の末、初代世界一に! ワールドベースボールクラシック(WBC)決勝、キューバvs.日本が21日(日本時間)、米国のペトコ・パークで行われ、日本が10−6で乱打戦を制した。日本は、見事に参加16チームの頂点に立った。
(後略)

今日も手に汗握る好ゲームでしたね。
そして、日本チームが初代チャンピオンに。
いやぁ、感動させてもらいました。

アメリカのファンにも、海の向こうの国で「Baseball」がしっかり根付き、「野球」という文化にまで育ったことが伝わったでしょうかね。
そして同時に、共産圏であるキューバでも独自に進化を遂げた「beisbol」というものが、「Baseball」と対等に戦える水準であることを、素直に受け入れられるでしょうか。

アメリカは、「Baseball」の発祥の地であり、国内リーグであるメジャーリーグの優勝決定戦を「ワールドシリーズ」と称して来ました。
しかし、今回のWBCの戦いを通して、メジャーリーグが最強であることは証明できませんでした。

今回の結果だけをもって、日本プロ野球が世界最強であるなどとは、誰も思わないでしょう。
しかし、レベルの差は確実に縮まって来ていることは明らかなのではないでしょうか。

アメリカが「Baseball」というスポーツを自国の文化であるとして、「野球」や「beisbol」を一段低いものと見なし、メジャーリーグのマーケットとしてや、メジャーリーガーの供給基地くらいにしか思わないなら、今回のWBCはとんだ茶番であったとしか言えないでしょう。
アメリカで生まれた「Baseball」は、世界中でとは言えなくとも、少なくとも日本やキューバなどの国では自国のスポーツ文化としてしっかり成長しており、もはやアメリカが独占し続けることは、「Baseball」の更なる発展を阻害するだけだと思います。

今回、日本は幸運にも優勝トロフィーを手に入れました。
優勝トロフィーが太平洋を渡って日本に来るのですから、次回WBCは日本で開催するというのもひとつの手であると思います。

次回もまた、アメリカによるアメリカ人のためのWBCが企画されるのなら、日本プロ野球は、今回手に入れた優勝トロフィーを懸けて、アメリカ抜きの世界王者を決める大会を開催すべきだと思います。

オヤジよ、どこへ逝く?

いつも読ませてもらっているid:finalventさんの日記に、「オヤジになれ」というエントリーがあった。
うちのブログのタイトルが「オヤジがゆく」なもんで、ちょっと絡んでみます。
そのエントリーは「オヤジとそうでないものの境界」(30代女性会社員の気になるニュース)というブログ記事を読んでのfinalventさんのリアクションです。
で、そのリアクション部分。

これ読んで、僕もオヤジにならないように努力しようとか、お・も・う・な・よ

 若い娘さんの眼とか気にせず、オヤジに、な・れ・て・ば

 理由。理由なんていらない、とまで言うのもなんだが。

 (1)ナチュラル穏やかさんはただの自然物、(2)若い人間から好かれるオヤジはツールでしかない(ツールなんていざというとき使えねー)、(3)オヤジの力は人生に一度か二度、愛する人だけ出せばいい。っていうか、そのために、オヤジを、弓をためるように、ためとけ。っていうか、出さずに黙って孤独に死んでいくもよし。っていうか、オヤジになるまいとするナルナルをそうしたオヤジの孤独に変えていけ。

これはもう、オヤジの美学です。ハイ。
私も逝きます。
「死して屍、拾うものなし」です。(謎)

オヤジ絡みで、もうひとつのニュース。

『ちょいワル代わって愛ホームパパのワケとは…「バブリー不倫オヤジはもう古い」(ZAKZAK)

マイホームパパがちょい不良(ワル)オヤジに宣戦布告!? 活況の男性ファッション誌に今春、新顔が登場した。先月末発刊された『OCEANS(オーシャンズ)』(インターナショナル・フラグジュアリー・メディア)。オヤジ向け雑誌ブームは『LEON(レオン)』(主婦と生活社)が牽引(けんいん)したが、『OCEANS』は、「愛」をテーマに、妻や子供を大切にしようとアピールしている。38歳の編集長は「バブリー不倫オヤジはもう古い」と意気軒高だ。
(中略)
男性誌の『エスクァイア』も4月号で「パパ・エスクァイア子育て宣言!」として父親の子育てを特集。経済誌の『プレジデント』も昨秋、『プレジデント・ファミリー』を創刊。品切れする書店が続出して増版を重ね、22万部をほぼ完売した。「バブル以降、企業環境が激変し、家庭に生きがいや幸せを求める気持ちが強くなっているのでは」(同誌編集部)。
 「女性読者や、50代男性も案外いる。切ない子供の事件やホリエモンのことがあり、バブル時代のようになりかけたところで、“心”をもっときちんとしようという動きが出てきたのでは」と大久保氏は話している。

ちょい不良(ワル)オヤジ」なんてのも、相当おバカな感じがしましたが、「マイホームパパ」なんて今更感漂い過ぎかと。(まあ、それが逆に新鮮なのか?)

どうせなら、「カミナリオヤジ」か「頑固オヤジ」もしくは「偏屈オヤジ」を推奨してくれないかなぁ・・・。

まあ、他人の目も気にせず、「マイウェイ」を熱唱するようなオヤジが、世間的に受け入れられる日は、永遠に来ないでしょうが。

WBCに見る日本の「恥」と韓国の「恨(ハン)」

下の記事「心配は無用だった」で取り上げた、イチロー選手のコメント。

「勝つべきチームが勝たなくてはいけない。そのチームは当然、僕らだと思っていた。きょう負けることは、日本のプロ野球大きな汚点を残すことと同じ」
『勝つべきチームは僕ら イチロー=訂正』(スポーツナビ)より引用)

イチロー選手は過去2度の韓国戦での敗戦の後、「野球人生最大の屈辱」という言葉を口にしました。
そして、3度目の敗戦を喫することは、「日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」と言いました。
その発言は、彼の中にある「誇り」がそうさせるものなんだろうと思います。
さらに、この発言から注目すべき点は、「日本のプロ野球大きな汚点を残す」としている点です。
彼は、すでに米国大リーグで輝かしい実績を残した、堂々たるメジャーリーガーです。
日本の多くの国民も、彼をメジャーリーガーとして認識しているでしょう。
そして、「彼はメジャーに憧れ、日本のプロ野球を捨てて出て行った」と考える人もいるでしょう。
しかし、彼は「日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」と語りました。
単に言葉のあやなのかもしれませんが、私は、彼が今も日本のプロ野球を誇りに思い、日本のプロ野球のために全力を尽くしているのだと、うれしく思いました。
そして、彼のメジャーリーグでの奮闘は、決して彼個人のためのものだけでなく、日本プロ野球の名誉を懸けたものでもあったんだなと、改めて思いました。
「屈辱」や「恥」、「名誉」や「誇り」などと口にすれば、なにか傲慢なものを感じられるかもしれませんが、誇るべきものを何も持たない(持てない)よりは、良いことだと思いますし、国を代表して戦う者には、持っていてもらいたいものだと思います。
また、イチローは、敗戦の後には「(自分の)野球人生最大の屈辱」と言い、勝利の後には「きょう負けることは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」と言いましたが、これがもし逆であったら、どうだったでしょうか?
2度の敗戦の後、彼は自分の野球人生において「屈辱」と言うことで、それを自分の「恥」としましたが、心の中ではそれ以上に大きな責任を感じていたのでしょう。
そして、勝って始めて、その背負っていたものについて言及できたのではないでしょうか。

一方、準決勝で敗れた韓国について、「スポーツ朝鮮」の記事を引用させてもらいます。

『【WBCコラム】世にも珍しい試合方式で消えた優勝』

三球三振させられなかったせいで、すごすごと帰り支度をしなければならないのか。2ストライク1ボールならまだ投手が優位だ。それなのにサヨナラホームランを打たれたかのような気分なのが悔しい。
 哀惜の念に耐えられない。いや、張り裂けんばかりの憤りさえ感じる。6試合勝って、たった一度負けただけなのに。口惜しさを胸にしまい、WBC韓国代表チームが見せてくれたこれまでの苦労に拍手を送りたい。
 アメリカが主導した今回のWBC。世にも珍しい試合方式のせいで韓国は最大の犠牲者となった。韓国は1次リーグ(アジアラウンド)で日本に3−2で勝った。ベスト8に入った2次リーグでもう一度戦って2−1で勝利した。韓国の2次リーグ成績は3勝。1組の1位として準決勝に進出。一方、日本は1勝2敗で脱落が予想されたが、2次リーグ最終日に米国がメキシコに敗れる波乱があり最小失点の原則によって漁利の利で準決勝に上がった。
 ほとんどすべての国際大会では組を2つに分けて進行し、ベスト4が決まったらクロストーナメントで決勝に進む2チームを決める。しかし大会初めての年に無理に欲を出した米国は、同じ組のチーム同士を再び準決勝で戦わせる日程を採択した。2組の最強チーム、ドミニカ共和国に決勝戦まで会わなくて済むように、という意図以外に説明のしようがない。
 その結果、韓国は準決勝で日本とまた戦うことになった。1つの大会で同じチームと三度も戦うという、失笑するしかないようなことになった。すでに二度勝った韓国だ。もう一度勝ってあたりまえ、負ければ脱落という滑稽なプレッシャーを抱えて三度目の対日本戦を行った代表チーム。
 日本は韓国よりプロ野球の歴史が50年も長い。高校だけで約4700チームもある日本と、50前後しかない韓国では、基本的な資源からして相手にならない。だから客観的な戦力に優れた日本に二度連続で勝ったことさえも奇跡のような出来事だった
 奇跡は三度はやって来なかった。2次リーグ以後2勝2敗の日本が決勝でキューバと試合をすることになった。欲をかいた米国はベスト4にも上がれずに恥をかき、大会最大の波乱を巻き起こして興行を引っ張った韓国は悔しいことに帰り仕度をする羽目になった。WBCの制度的な矛盾が韓国野球100年史の快挙の足を引っ張ったことになる。それでも幸いなことは、韓国野球の隠れた底力は今や全世界から認められたのだ。
キム・ナムヒョン特派員
『スポーツ朝鮮』

キム・ナムヒョン特派員の怒りの矛先は、米国に向かっているようですね。(笑)
そして、NHKのテレビニュースで何度か流れた、韓国人女性のインタビューでは、「恨みはワールドカップで晴らします」みたいなものでした。
このインタビューを聞いたときに思ったのは、「恨み」とは韓国人独特の「恨(ハン)」という感情なのでは?というものでした。
それについては、id:uumin3さんが、『「恨(ハン)」とルサンチマンは違う』で取り上げていらっしゃいます。
以下に一部引用させてもらいますと、

 だから恨〈ハン〉は、私の中では「逆境バネ」とか「ハングリー精神」とかいうものと解釈しています。

 その意味で、最初に挙げたNHKのインタビューのテロップは誤訳なのではないかと思ったのですが…

(※確かに日本的心性今の日本の野球ファン、サッカーファンからすると、野球の恨をサッカーで解くというのはややお門違いにも思えますけど 笑)

「恨(ハン)」という感情は、日本人には分かりにくいものですが、「恨(ハン)」を抱くことで、逆境を跳ね返す力がでるのでしょう。
そういう意味では、決してネガティブに捉えるべきではないものかもしれません。

ただ、「恨(ハン)」はその対象となる相手を必要とするのかも?とも思います。(この点想像ですが)
だから、「野球の恨をサッカーで」となるのかと。
もしくは、「ショート・トラックの恨をサッカーで」と。
「克己」ではなく、克服すべき対象は「他者」なのでしょうか。

「恥」は日本人を読み解くキーワードであるなんてことは、今さらなんでしょうけれど、「恨」が韓国人を理解する上で重要なキーワードになる、なんてことも今さらですね。(笑)

いずれにしても、日本人と韓国人、お隣同士でありながら、かなり違うようです。(こんなまとめで良いの?ばく)

トラックバック
http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20060320#p1
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060317/1142563601
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060320/1142839360

心配は無用だった。

WBCの準決勝、日本vs韓国の試合をテレビ観戦しました。
試合は、先発の上原投手の好投もあり、日本が終始攻勢にゲームを進めていましたが、あと1本が出なかったり、日本のマズイ攻めにより、7回途中までは0−0のこう着状態が続きます。
その均衡を破ったのは、打撃不振からスタメンを外された福留でした。
代打で登場した福留の、それまでのもやもやを一気に吹き飛ばすような会心の一撃は、ライトスタンドにするどく突き刺さり、日本チームに待望の先取点「2」をもたらしました。
その後は、呪縛から解き放たれた日本の選手が、本来の力を発揮して、6−0の快勝を得ることができました。
思えば、このWBC2次リーグは、初戦の米国戦での微妙な判定による痛い敗戦で、日本はもう1敗もできない窮地に立たされました。
「もう負けられない」というプレッシャーは、相当なものであったと思いますし、普段日本のプロ野球で見慣れた選手達の普段とは違う動きを見ると、初戦を「拾う」か「落とす」かの差は、その後の展開に大きく影響すると、改めて感じました。
ただ、その「呪縛」を自ら打ち砕いた日本チームの底力と、自らとチームメートの力を信じ、最後まで王監督を中心に結束し、高いモチベーションを維持し続けたことは、WBCの決勝に進むにふさわしい立派な物であったと思いますし、日本という国を愛し、プロ野球を応援する者の一人として、誇りに思います。

ここに試合後のイチロー選手のコメントを伝える記事を引用させてもらいます。
『勝つべきチームは僕ら イチロー=訂正』(スポーツナビ)

イチロー外野手(マリナーズ)が、野球人の誇りを懸けた戦いに完勝した。試合前の練習で告げられた初の3番で3安打、2盗塁、1打点。そして、これまでの2度の苦い思いを晴らすような6−0の勝利。しかし自らも含め、日本の選手が感情をあらわにして、韓国ベンチに向けてガッツポーズをすることは一度もなかった。
 「当然でしょう。野球はケンカではない。そんな気持ちでした」。しかし、今大会における韓国選手たちの振る舞いには闘志をかき立てられていた。
 例えば2次リーグで日本に勝利した後、太極旗をマウンドに突き立てた者がいた。この日、5打席目の邪飛を捕球した三塁手は、そのボールを打者のイチローに向かって投げつけた。それ以外にも敬意を欠く行為が連続。大好きな野球が冒とくされた、と強く感じていた。
 本当の強さやプライドは、プレーそのもので表現すべき。少なくとも、イチローの固い信条は日本野球で培われたものだ。「勝つべきチームが勝たなくてはいけない。そのチームは当然、僕らだと思っていた。きょう負けることは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」。
 絶対に負けられない韓国との3度目の顔合わせは、イチローにとってアスリートの尊厳を守る“聖戦”でもあった。
 そんな志に、日本代表のメンバーは完全に同調している。「本当にいい仲間ができました」。チームリーダーが、やっと満足げに笑った。(サンディエゴ共同)

実は、もし日本が勝った場合、日本チームが韓国チームがやったようなウィニング・パフォーマンスをやったらどうしよう、なんて密かに心配していました。
まあ、そんな心配はまったくの杞憂でしたね。(苦笑)
日本チームは、王監督に率いられた「誇り高き男達」であったと、改めて思いました。
次の試合も、ベスト・パフォーマンスを期待しています。
それは、キューバの選手達にも同様にです。

きっと良い試合になるでしょう。

そして、その後に「野球文化」がさらに大きく育つことを願っています。


トラックバック
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060317/1142563601
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060320/1142839360